検体検査とは

検体検査は、どこで、誰が行っているの?

大きな病院では、検査のための専用の検査室があり、多くの場合はそこで患者さんから採取した検体の検査を行っています。小さなクリニックなど検査室のない医療機関では、検査センターと呼ばれる専門の機関に検体を送って調べてもらいます。検査は「検査技師」が行います。

解説

大学病院や規模の大きな病院では、臨床検査を行う専用の検査室があり、さまざまな検査用の分析装置によって、患者さんから採取した検体をただちに分析しています。検査によっては、数時間後にはお医者さんから検査の結果を聞くことができます。

かかりつけのクリニックなど、専用の検査室の無い医療機関では、患者さんから採取した検体を地域の検査センターに送り、そこで検体を調べてもらいます。

病院の検査室も検査センターも、毎日大きな分析装置で多くの検査を行っています。 検査結果は医療においてとても大切な情報なので、「検査技師」という国家資格を持った方々が臨床検査を行うことが決められています。

検体検査にはどのような種類があるの?

尿検査(尿)

尿を調べると腎臓、膀胱、肝臓の病気を見つけることができます。また、糖尿病などの代謝性の病気の検査としても重要です。具体的には尿タンパク、尿糖、潜血反応や尿中の有形成分の有無などを検査します。健康な人の尿には、タンパクや糖などはほとんど見られません。

便検査(便)

消化管からの出血を調べるため便の中に血液が混ざっているかをみる便潜血反応、回虫や鞭虫、条虫及びこれらの虫卵を調べる寄生虫検査があります。

血液学検査(血液)

血液学的検査は、貧血、白血病、出血傾向などの血液疾患の病態解析、診断、治療効果の判定、経過観察、予後の推定に欠かせない検査です。赤血球、白血球、血小板の形や量、凝固・線溶(血液の固まりやすさ)どを調べます。

他のさまざまな病気の診断や経過観察においても重要な検査です。

生化学検査(血液、尿)

血液中のさまざまな成分を分析し、身体に異常がないか、身体のどの部分(臓器や組織)の病気なのか、身体の中に炎症が起こっていないか、栄養状態はどうか、などを知ることができる検査です。血液や尿の中に含まれている成分を測定します。

患者さんが飲んでいる、あるいは注射されているお薬が血液中にどれくらいの濃度があるのかを測定することで、治療方針の決定や服用量の設定にも利用されています。

免疫血清検査(血液、尿)

細菌やウィルスの感染によってできた血液中の抗体の有無や量を調べることで、病気を診断する検査です。 その他に、血液中のホルモンなど微量な物質の測定を行う検査もあります。

遺伝子検査(血液、組織、穿刺液)

遺伝子検査はさまざまな病気の診断や治療に役立てることができる検査です。 遺伝子は、人間の身体を作る設計情報であり、親から子へと受け継がれます。 一部の病気では、遺伝子の突然変異が原因となることがわかっています。

微生物検査(血液、便、喀痰、咽頭粘液、髄液、その他)

微生物による感染を調べるための検査です。

微生物には細菌、真菌(カビ類)やウイルスなどがあります。

病理検査(組織)

人の身体から採取した組織、細胞からプレパラート(顕微鏡で観察できるガラス標本)を作成し、顕微鏡で形態を観察することで病気の確定診断、病期や予後の推定、治療効果の判定を行う検査です。 病理検査は、検体の種類・採取方法や目的によって「組織検査」と「細胞診検査」に分けられます。

輸血検査(血液)

安全な輸血を行うため、輸血用血液製剤が患者さんに適合するかどうかを見る検査です。他人の血液を使用するため多くの副作用が起こる可能性がありますが、貧血や出血の際には必要な治療です。 そのため、輸血検査では血液型をはじめ各種検査を行い安全性の確保に努めています。

検体検査はどのように行われるの?

検体検査は実際にどのように行われているのか、血液検査を例に簡単にご紹介します。

血液検査の流れ(検査室がある大きな病院での例)

検体の準備

患者さんの血液(検体)を、採血管を用いて採取します。検査の目的に応じて異なる採血管を用いたり、前処理と呼ばれる遠心分離など行い血液成分を分離させ、検査がしやすいように準備します。

分析機器にセット

検査用の分析機器に前処理をした検体をセットします。分析機器には、あらかじめ検査薬がセットされています。

分析機器で測定

どんな検査をするのか、必要な情報を分析機器に入力すれば、自動的に検査が行われます。検査技師さんが効率的に検査できるように、今は多くの検査が自動で行えるようになっています。

結果の報告

検査結果は病院などの電子システムを通して、お医者さんに連絡されます。

患者さんへの説明

お医者さんは、血液検査結果をもとに、他の検査・所見と併せて総合的に、患者さんに診断結果を説明します。

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