肝炎
肝炎の症状
気づけない「肝炎のサイン」と、知っておきたいウイルスのこと
なぜ肝炎は発見が遅れがちなのでしょうか。それは、肝臓が持つ驚異的な能力と、ウイルスの静かな性質に理由があります。
「沈黙の臓器」- 症状が出ない理由
肝臓は非常に高い「予備能力」と「再生能力」を持っています。一部がダメージを受けても、残りの正常な部分がその働きをカバーするため、初期の段階ではほとんど症状が現れません。これが「沈黙の臓器」と呼ばれる所以です。その我慢強さゆえに、私たちが異変に気づいたときには、病気がかなり進行してしまっているケースが多いのです。
もし症状が出るとしたら? - 黄信号から赤信号へ
肝炎が進行し、肝臓の機能が大きく低下してくると、ようやく全身の倦怠感や食欲不振、黄疸(皮膚や眼球の白目が黄色くなる)といった症状が現れ始めます。しかし、これらの症状が出たときには、病気がかなり進行している可能性があるため、すぐに医療機関を受診することが重要です。
知っておきたい2大肝炎ウイルス:B型とC型
慢性肝炎、そして肝硬変・肝がんの大きな原因となるB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)。この2つのウイルスの特徴を知っておくことが、自分や大切な人を守る第一歩です。
B型肝炎ウイルス(HBV)は血液・体液を介して感染し、C型肝炎ウイルス(HCV)は主に血液を介して感染します。日本のB型肝炎ウイルス保持者は少なくとも2025年時点で約90万人・C型肝炎ウイルス保持者は少なくとも2025年時点で約40万人(出典3)いると推定されています。
感染経路
- 出生児の感染(母子感染*):出産の時にHBVに持続感染している母体から生まれた子供に感染
- 輸血*
- 注射針の使い回し(薬物注射など)
- 濃密な接触(性行為など)*
- 不衛生な器具を使用したピアスの穴をあけ・タトゥー彫り・医療行為 etc…
*日本では、1972年より輸血のB型肝炎ウイルスのスクリーニング検査が開始され、1986年からは母子感染防止事業に基づく出生児へ予防対策がされており、現在では、これらを原因とした新たなB型肝炎ウイルス感染は、ほとんどありません。
C型肝炎ウイルスの場合、母子感染は多くありません。また、B型肝炎ウイルスに比べて感染力は弱く、性交渉や体液で感染することはほとんどありません。
肝炎・免疫研究センター研究センター長 / 肝炎情報センター長)
(出典1) 令和2年度 肝炎ウイルス検査受検状況等実態把握調査(国民調査)
(出典2) 肝がん白書令和4年度| 一般社団法人 日本肝臓学会
(出典3) Burden of chronic hepatitis B and C infections in 2015 and future trends in Japan: A simulation study
