心不全

心不全の予防

心不全は予防が大切です

心不全にはステージ分類があり、だんだんと進行していきます。ステージA/B/C/Dと先の段階に進まないように予防していくことが大切です。
心不全の症状が出ていないステージA,B、症状が出ているステージC,Dと区分があります。

ステージA
心不全の危険因子(糖尿病、高血圧、動脈硬化など)がある状態です。生活習慣の改善などを行い心臓の異常に進展しないよう防ぐ必要があります。つまり、糖尿病や高血圧を放置せず、きちんと治療する事が大切です。
ステージB
症状がでていませんが、何らかの心臓の異常(心疾患)がある状態です。心疾患に対する治療を行い、心不全を予防します。
ステージC
心不全の症状が現れ、「心不全」と診断された状態です。心不全の治療を行い、再入院を防ぎます。ただ、ここまで来てしまうと、治療の効果は一時的なもので、心不全の進行を防止できないことが多く、ステージAやBでの治療が非常に重要になってきます。
ステージD
治療を行っても改善が難しい(治療抵抗性)末期の状態です。
心不全のステージ分類

糖尿病と心不全の関係

糖尿病と心不全には密接な関係があります。
糖尿病は既に心不全リスク段階のステージAであり、心不全進展のレールに乗ってしまっている段階です。
高血糖状態では動脈硬化などが進み、それによって狭心症や心筋梗塞を発症したり、糖尿病腎症などによる血液量のコントロール不良が起きやすかったり、血糖による心筋へのダメージなどが原因となって心臓自体が硬くなったり(線維化)、肥⼤がおきたりします。
つまり糖尿病患者は無症状のうちに心不全へと進展している可能性が高いです。
そのような背景から糖尿病患者ではナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP,BNP)や心電図、胸部X線等によって定期的な心不全を検出する(スクリーニング)検査が推奨されています。

NT-proBNPってなに?

NT-proBNPは心臓の負荷(心不全の重症度)を反映する血液中の物質(バイオマーカー)です。
心臓に負荷がかかった状態が続くと、心臓から分泌されて血液での濃度が上昇します。
値が高いほど心臓が弱っている可能性があります。

NT-proBNPの検査結果の見方

55 pg/mL未満
心不全の可能性は極めて低いです。
55 pg/mL以上
125 pg/mL未満
心不全の可能性は低いです。可能であれば経過観察をしてください。
125 pg/mL以上
前心不全(心臓機能障害があるが心不全症状/徴候がない)、または心不全の可能性があります。精査または循環器専門医の受診を推奨します。
300 pg/mL以上
心不全の可能性が高いです。精査または循環器専門医の受診を推奨します。

NT-proBNPの血液検査はどこでできますか?

多くの健診機関でオプション検査として検査が可能です。多くの病院でも検査ができますので、足のむくみ、動悸、息切れなどの気になる症状がある方は主治医の先生への相談や循環器専門医での受診をお勧めします。

監修
新潟大学大学院 生活習慣病予防・健診医学(健診・人間ドック学)講座 特任教授
新潟県労働衛生医学協会 理事 加藤 公則 先生
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