新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの検査方法(PCR・抗原検査・抗体検査)

新型コロナウイルスに関する検査

左右にスライドしてご確認ください

検査種類 目的 検査名
ウイルス検査 現在感染しているかを知る検査 ・PCR検査
・抗原検査
抗体検査 過去の感染歴を知る検査 ・ヌクレオカプシド蛋白抗体検査
ワクチンに対する反応を知る検査 ・スパイク蛋白抗体検査

現在感染しているかを知る検査

現在感染しているかを知る検査には、PCR検査と抗原検査があります。
ウイルスのRNAを検出するのがPCR検査、蛋白を検出するのが抗原検査です。ウイルスが検出されれば、新型コロナウイルス感染と診断されます。
感染を早く認識し、他者に移さないためにも役立ちます。

動画で確認

ウイルスを検出するための検査では主に鼻をぬぐった綿棒で検査をします。
医療機関では鼻咽頭(鼻の奥)をぬぐいますが、自己採取では入口から2cmほどのところ(鼻腔)をぬぐいます。
自己採取の方法は以下もご参照ください。

PCR検査

新型コロナウイルスはウイルスの遺伝子配列となる核酸(RNA)を持っています。PCR検査は、ウイルスのRNAを部分的に増幅して、検出する、非常に感度の良い検査です。

抗原検査

ウイルスのRNAが巻き付く蛋白(ヌクレオカプシド蛋白)は、新型コロナウイルスの中で最も量の多い蛋白で、抗原検査ではこれを検出しています。
抗原検査には、抗原定量検査と抗原定性検査があります。

抗原定量検査

測定装置が必要ですが、PCR検査の次に感度がいい検査です。病院など設備の整っている施設で行われ、大量検体処理が可能です。

抗原定性検査

カートリッジに検体(鼻をぬぐった綿棒を専用の液に浸した試料)を滴下し、出てきたラインを目で確認し結果を判定します。定量検査よりも感度は劣りますが、誰でもすぐに検査できるのが利点です。2022年9月よりOTC製品としても販売を開始しました。体調が気になる場合等のセルフチェックに容易に使用できます。

OTC製品とは、

『一般用検査薬』として国が承認した製品のことです。ドラックストアやインターネット等で購入が可能です。新型コロナの検査キットは「研究用」ではなく「国が承認したキット」を使いましょう。

過去に感染したことがあるかどうかを知る
ヌクレオカプシド(N)蛋白抗体検査

体内にウイルス等の異物が入ると、ヒトの体の中では、その異物に対する抗体が作られます。この抗体は異物に特異的に結合することで、体を守ろうとします。
2022年9月現在国内で承認されているワクチンには新型コロナウイルスのN蛋白は含まれません。このためN蛋白に対する抗体を持っているということは、新型コロナウイルスに感染したことがあるということを意味します。
弊社のN蛋白抗体検査は感染後、1年半以上経過しても9割近くの患者さんにおいて、抗体陽性が持続していたという報告※1もありますが、どのくらい持続するのかはまだ分かっていません。また検査法によっても持続性は異なります。

Nakagama, Y. et al. (2022).Journal of Clinical Microbiology Vol. 58, No. 10. Detecting Waning Serological Response with Commercial Immunoassays: 18-Month Longitudinal Follow-up of Anti-SARS-CoV-2 Nucleocapsid Antibodies

抗体検査は研究用試薬です。診断等に使用することはできません。

ワクチンに対する反応を知る
スパイク(S)蛋白抗体検査

S蛋白はウイルスが体内に侵入するのに重要な役割を果たす蛋白であり、2022年9月現在承認されているワクチンは、S蛋白に対する抗体を産生させます。このため、ワクチンに対する反応を知るためにS蛋白抗体検査が利用されています。
S蛋白抗体価は、ワクチン接種によって上昇しますが、1ヵ月ほどでピークを迎えたのち、時間経過とともに減少することが分かっています。さらにワクチン接種2回目よりも3回目接種後の方が高くなることが分かっています。

ワクチン接種後のスパイク抗体量の変動(中央値)について、千葉大学の研究で分かったことがあります。

  • ワクチン2回目接種から8ヵ月後の抗体量は1/3に減少していました。
  • ワクチン3回目接種後の抗体量は、2回目接種後の約10倍に上昇していました。

測定条件

ワクチン接種後のスパイク抗体量の変動(中央値)

2022年3月14日千葉大学病院プレスリリースより引用

新型コロナワクチン:ファイザー社
測定タイミング:ワクチン3回目接種 2-4週間後
検査試薬:ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
Elecsys Anti-SARS-CoV-2 S RUO(研究用試薬)
母集団:千葉大学医学部附属病院 医療従事者

  • 1回目接種前に採血…2,015名(男性 719名、女性1,296名、21才~72才)
  • 2回目接種後に採血…1,774名(男性 606名、女性1,168名、21才~72才)
  • 3回目接種前に採血…1,443名(男性 483名、女性960名、21才~72才)
  • 3回目接種後に採血…1,372名(男性 439名、女性933名、21才~72才)

S蛋白はウイルスにも含まれているため、感染した場合にも反応がみられます。
このためワクチン接種に加え新型コロナウイルス感染を経験した場合、『ワクチン + ウイルス感染』の反応をみていることになります。
なお、感染防御に必要な抗体量について、 いくつ以上あれば大丈夫という 基準になるものは現在ありません。

抗体検査は研究用試薬です。診断等に使用することはできません。

監修
国立大学法人 千葉大学大学院医学研究院 アレルギー・臨床免疫学 教授 中島裕史先生
ページトップへ