子宮頸がん

早くわかれば、こわくない。
20歳からの

子宮頸がん検診

おさえておきたいPOINTS

  • 子宮頸がんは20歳代からなる可能性があるがん
  • 子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染
  • 初期症状はほとんどないため定期的な検診が重要

子宮頸がんはどんな病気?

子宮がんは、子宮の入り口の頸部にできる「子宮頸がん」と、子宮奥の子宮体部にできる「子宮体がん」の2つに分けられ、それぞれ原因や罹患年齢が異なります。
子宮頸がんは、子宮がん全体の約6〜7割を占めており、20代から30代の女性に1番多いがんです。また罹患率は年々増加傾向にあります。

子宮頸がん
(子宮頸部に出来るがん)
子宮体がん
(子宮体部にできるがん)
自覚症状 無症状(初期) 不正性器出血
明らかになっている原因 ヒトパピローマウイルス(HPV) 女性ホルモンバランス
年齢のピーク 30〜40歳代(20歳代急増) 50歳代
早期発見のポイント 検診 不正性器出血で受診

国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」(全国がん罹患モニタリング集計(MCIJ))(1975~2015年)

子宮頸がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)

子宮頸がんは、性交渉によって感染するHPV(ヒトパピローマウイルス)というごくありふれたウイルスが原因です。性交渉の経験がある女性は生涯に最低一度は感染すると言われています。しかし、たとえ感染しても、多くの人は自分の免疫力でウイルスを排除できるので必要以上に恐れることはありません。ところが、約10%の人がウイルスを排除できずに感染が持続してしまい、一部の人でその細胞が変化し異形成といわれる前がん病変となります。この前がん病変は長い期間を経て子宮頸がんに進行します。

Winer RL, et al. Am J Epidemiol. 2003;157:218-226.
Schiffman M, et al. J Natl Cancer Inst. 2011;103:368-383.
Solomon D, et al. JAMA 2002; 287:2114–2119.

定期的に検診を受診しよう

子宮頸がんは、多少進行しても自覚症状はほとんどありません。そのため定期的に検診を受診して、がんになる前の段階である「前がん病変」の段階で見つけることがとても重要です。
ここからは、子宮頸がん検診と検診受診後の詳細についてみてみましょう。

※異形成=前がん病変

子宮頸がん検診には「細胞診」と「HPV検査」があります。

一般的に子宮頸がん検診では、「細胞診」という検査が行われます。
細胞診は子宮頸部から採取した細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞がないかを調べる検査です。検査結果は、細胞がどのような状態なのかを推定した病変の分類法で報告されます。「HPV検査」は、採取した細胞にHPVが感染しているかどうかをPCR検査などで調べます。感染していれば「陽性」・感染していなければ「陰性」と診断されます。
どちらも子宮頸部をブラシなどでこすり、細胞を採取して検査します。

細胞診
  • 形態学的検査
  • 高い特異度
  • 感度はHPV検査と比べ劣り、見逃しがある
  • 日本における主流の検査法
HPV検査
  • HPVを検出する遺伝子検査。原因ウイルス感染の有無を判定
  • 高い感度(見逃しが少ない)
  • 特異度は細胞診よりは低い
  • 欧米では広く取り入れられている

細胞診の結果は検診受診時までの細胞の状態を反映します。一方でHPV検査は検診受診時の感染の有無を反映することになりますので、感染が認められない場合は次回の検診までは前がん病変が検出される可能性は非常に低くなります。

黒川哲司、吉田好雄ら
日本がん検診・診断学会誌 2018、25(2):169-175 より作成

検査で異常が見つかったら、精密検査を受診しましょう

検査で異常があってもすぐにがんというわけではありません。病院でさらに詳しく子宮頸部の状態を調べる「精密検査」を受診しましょう。精密検査は、子宮頸がん病変は酢酸をかけると白く変色することを利用し、子宮頸部に酢酸をかけ、コルポスコープという拡大鏡を用いて子宮頸部を観察します。観察中に病変が見つかった場合、病変組織を採取し、さらに詳しく顕微鏡で観察する病理組織診検査が行われます。

子宮頸がんの治療

子宮頸がんでは、がんの進行によって治療法が異なります。前がん病変やごく初期の子宮頸がん(挙児希望がある場合)の治療では「円錐切除術」や「レーザー蒸散術」が行われます。非常に早期のがんで発見し、適切な治療とフォローが行われれば再発・転移することは極めて少ないといわれています。

円錐切除術

「円錐切除術」は、子宮の一部分のみを切除する方法です。
円錐切除術では、子宮が温存できるため、妊娠や出産の可能性を残すことができます。ただし、手術の後も、流産や早産などを含む後遺症に悩まされることがあります

レーザー蒸散術

「レーザー蒸散術」はレーザーを照射して患部を焼き飛ばす方法です。
比較的軽度の方が対象となりますが、円錐切除術に比べ再発リスクは高いと言われています

進行した子宮頸がんの治療

進行したがんでは、子宮を摘出する手術や放射線療法や化学療法の組み合わせの治療になります。原則として「広汎子宮全摘術」が行われます。子宮だけでなく、膣の一部、周辺の結合組織、リンパ節、卵巣(進行度により残せることもあります)、卵管などを切除します。がんの進行の程度によっては、手術のほか、放射線療法や化学療法を組み合わせた治療が行われます。

子宮頸がん治療と後遺症

進行したがんでは、子宮を摘出する手術や放射線療法や化学療法の組み合わせの治療になります。原則として「広汎子宮全摘術」が行われます。子宮だけでなく、腟の一部、周辺の結合組織、リンパ節、卵巣(進行度により残せることもあります)、卵管などを切除します。そのため下記のような後遺症が残ることが知られています。

子宮頸がん検診を受けましょう

下記に子宮頸がん検診の全体の流れを記します。

子宮頸がん検診
子宮頸がん検査は、どんな方法で受けられるの?

20歳以上の女性なら、それぞれ加入している保険によって、健康保険組合や自治体で子宮頸がん検診が受けられます。
ご自分やパートナーが加入している健康保険組合や自治体などに、申し込み手続きや問い合わせをして、早期に検診を受けましょう。

監修

医療法人 LEADING GIRLS
女性医療クリニックLUNA横浜元町
永井 美江 先生